『ソフトバンクの300年後を想像してみる ~夢幻∞大のドリーミングメディア~』 より
孫正義氏のソフトバンク新30年ビジョンを見た。さすがに、2時間以上は、パソコンでは無理。30年ビジョンといいながら、なぜか話が300年ビジョンに。ソフトバンクは、将来、脳型コンピュータを売りたいと思っているらしい。
via mugendai.bloggers-network283.com
上に引用したmugendai氏のブログを読んでみた。で、興味を引かれて孫社長プレゼンの動画をみてみた。便利な時代になったものだ。見逃した映像を、自分の都合のいい時に追体験することができる。長い動画とわかっていたので、PS3でアクセスしてテレビの画面で映し出してみた。ながら見にはいいぞこれ。
という訳で以下、その個人的感想です。
ソフトバンク孫正義社長の「新30年ビジョン」の動画をみた。
6月25日のUSTREMでも中継されたプレゼンだ。
その内容の書き起こしはこちら↓
ソフトバンク孫正義社長による「新30年ビジョン」発表会 書き起こし
長い。約2時間。そんなに時間をかけて何を伝えたかったのか。
わからなかった。(笑)
これから世の中、変わるよ~。コンピュータがめっちゃ、賢くなるよ~。
ソフトバンクはその変化をプッシュしてくよ~。
そんな感じか?
なにしろこの長時間のスピーチの中で、ソフトバンクが主語でこれをやるという言葉があんまりなかったような気がする。300年後の未来まで語り、コンピュータが情報処理能力で人間を超える。身体装着したコンピュータチップを、脳波で直接制御してインターフェースをとる。そのチップ同士が無線で通信することにより、人と人との間でテレパシーライクなコミュニケーションが実現する。
とかとか、テクノロジーが世の中に変化を、それも大きな変化を生み出していく。というストーリーをSFチックに、歴史ネタも交えて様々なネタを詰め込んで語っていた。ネタというかトピックが多くて、「今、最先端ではこんなことが起こってますよ~」的な、例えていえば「ネットの最先端!」みたいな時事ネタの新書のような内容だった。情報量は多いが、ビジョンとしての内容は薄い。
「変わるよ~」しか言っていない。
恐らく伝えたいメッセージは、ない。あるとすれば、「情報革命を通じてひとを幸せにしたい」という抽象的なワンセンテンスだけだろう。
あとふたつ、具体的だったのは、30年後にソフトバンクグループの株式時価総額を、今の2.7兆円から200兆円にしたいということ。今、800のパートナー会社を5,000社にしたいということ。
それもちらっと触れただけだった。どうやって?
その方法論についての言及はなかった。
プレゼンの大半は、ソフトバンクとは無関係な、ビジネスにとっての外的環境の変化についての説明であったような印象。主語がソフトバンクではない。
「ビッグウェーブが来るぞ!ソフトバンクはその波にのってビッグになるぞ!」という。そんなプレゼン。
普通、プレゼンというものは内容をそぎ落とす方向で構成する。伝えたいメッセージを明確にし、それをシンプルに、適確に伝えられるように構成を考える。今回の孫社長のプレゼンは、そういう風にはつくられていない。
言いたいことを、山ほどぶちこんで、その大量のネタをどんな順番で披露するかについて、流れを構成した。そんな感じのプレゼンだ。だから、終わった後に、何が言いたかったのかわからない。それはつまり、伝えたいメッセージというものがないからだ。「世の中、これから変わるよ~」以外に。
詰め込まれた個々のネタについては、私はアグリーだ。同意する。大きな流れとして、コンピュータは進化する。それは社会の変化をもたらす。それはその通りだと思う。(私個人としては、その変化は個々の人間のあり方を変えていくと考えている。私の関心は、もっと人間サイドにある。)
西暦2000年に、革命と呼ばれたインターネットは、しかしまだその変化の始まりでしかない。本当の変化はこれからだ。これから、更に大きな変化が始まるだろう。そのことについては私は同意する。
しかしその大きな変化の波の中で、ソフトバンクがどんな役割を演じようとしているのか、このプレゼンでは伝わらなかった。
主語がない、ということは、それが一般論であるということだ。
何をするのか、具体論がなかった。まあそれはいいだろう。いち民間企業の将来ビジョンの説明会だ。こういう方向にいきたいという、方向性を語ったということだ。方向性を語ったのであって、方法論ではない。
「大波が来るぞ!」と少年は叫んだ。その大きなビッグウェーブに対して、推進派にまわるのか、抵抗勢力になるのか、ある意味、その選択肢をつきつけたとは言えるかもしれない。
30年に一度の大法螺と、自ら語った孫正義社長のプレゼンは概ねこんな印象を残しました。
しかし、ムーアの法則というものは、根拠のあるものではなくて、単なる経験則なんだけどね・・・
理論的仮説ですらない。
プレゼンの終盤、突然、孫社長はおばあちゃんの話しを涙目で始める。あ、暴走始めちゃったよ。そう思った。お涙頂戴の浪花節かよ。そしたら最後の最後に、「名も知らぬ少女の幸せのために尽くしたい」という言葉とともにひとりの少女の写真で締めくくった。
暴走じゃなかったね。ちゃんと構成があるんだね。余計な演出だったよね。
やらなきゃいいのに。
コメント
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