現状維持に執拗に凝り固まって変えるということを頑なに拒む風潮について書いた「危機感のない人達」という前回の投稿に対して、リブログの引用もとのsugibeyaさんから次のようなコメントをいただきました。
鍛冶さん、sugibeyaです。
最近感じるのが、一致団結イケイケ時代と大きく違うのが日本は大きく階層分離してしまったなと。
上の層(上というのはなんか嫌ですが)の経団連、官僚、政治家達は実は相当危機感を抱いていてそれに対する処置を「彼らにとって」正しい形進めようとしている、但し、そのやり方が下の層(下というのはなんか嫌ですが)が望むこととは違っていて双方利害関係が一致しない。
いやちょっとまって?経団連、官僚、政治家達はそもそも誰の代表者なのか?
既にこの時点で大きく矛盾が発生しているのです。
そしてその「上の層」を支持して盛り上げているのが大手マスコミです。それに惑わされる情報弱者たちが方向性に迷い「おい、おかしいぞ」という大声を出し難く(まあ、国民の我らも悪いのかなあと弱気に)なり一致団結出来ない。
そしてズルズルと・・・。
こんな感じじゃないでしょうか?
このコメントを読んで、またいろいろ考えるところがありました。
上の層と下の層との分離・乖離。なるほど。自分の経験に絡めて言うと、私は自分が働いている企業で強く危機感を感じるのはオーバーヘッド部門と現場との乖離です。そのギャップはものすごく大きい。それぞれが全く違う価値観、全く違う原理で動いているように感じる。下から見上げるとまるで自分達とは違う天上人の世界が上の方にあるかのようです。これはおかしなことです。
個々人のレベルで言うと、それぞれが自分の仕事を一所懸命にやっているのだと思う。でもそれぞれが全く違う世界で違う仕事をしている。つながりがない。断絶。上と下というならそれはヒエラルキーなのでしょう。それが巨大化していて、血が通っていない。この情報社会においてなぜそんなことが起こるのだろう?
ネットという自由な情報交換網によって、中間管理層を中抜きにしたフラットな、スピードのある組織が実現するはずではなかったのか。現実は全く違う。上と下とはつながりをなくし、分断され、相互の交流を欠いた、レイヤの異なる別世界を形づくっている。
いったいなぜ、こんな分断が生じたのか。
組織というものを束ねる価値観の共有というのができていない。仕事において、何を目指し、どうやってそれを実現するのか。どんな風に目的達成に対する役割分担をし、それぞれがどうつながっているのか。そもそも何のために働いているのか。同じ会社で働いている意味は何なのか。
それは建前と現実との乖離であるようにも思う。レンガを積むという作業が、人々が祈りをささげる教会をつくっているのだという目的意識とちゃんと接続されていない。断絶。意味づけがされていない。その意味ではその会社独自の神話が必要なのかもしれない。或いはストーリーが。
私は建前が大嫌いだ。形式的なお題目が。血の通わないスローガンが。気持ちのこもっていないキレイゴトが。そんなものでは人は動かない。私は建前主義者が大嫌いだ。
「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」この定義。シンプルなコンセプト。
神話もなく目指すべき理想もなく、ただ闇雲に速く進むことだけを求める競争社会。多様化し分断された集団。そう、多様化だけは間違いなく進んでいると思う。
必要なのは熱い気持ちの込められたストーリーだ。人を駆り立てる情熱だ。何がしたいのか?カネと時間を注ぎ込んで何がしたいのか?必要なのはバカげた放熱なのかもしれない。
情報が、言葉があふれかえっている現代社会では、「考える」ということが忘れられている。ある情報を知ってはいても、それが自分にとってどういう意味を持つのか。それを知らない。自分の生活とどういう関連があるのか。その関連付けをしていない。それだから「自分には関係ない」。
意味づける行為が足りないのだと思います。私は自分の仕事の意味を考え続けています。繰り返し繰り返し。何度も何度も。自分の中ではある答えがある。世の中を今よりも先へ進めること。次のステージへと。進化のエンジンとなること。それは抽象的な思考。概念。それは私の思考であり、うまく人に伝えることができない。その抽象的概念と実際の仕事を結びつける中間の道筋が不足している。だから私は考え続けている。
答えなどない。けれどもそれは意味を求めることに意味がないということではない。私は意味を求め続ける。我々が求めているものは何なのか。
愛と平和と快。最大多数の最大幸福。他に何を求める?しかしこの世界は複雑すぎて多様化しすぎていて、そんな言葉では人は動かない。そんな言葉では現実の日常に結びつかない。実感が伴わない。ラブ&ピースで人が結びついていた時代は幸せだったのだろう。今はもっと噛み砕いて、ブレイクダウンすることが必要だ。途中の中間理念が必要だ。筋道が。それはやはりストーリーというものかもしれない。
人々を結びつける理想を私は求めている。未来を指し示す地図を。
「上の方の人たちも相当な危機感をもっている」という視点は私にはありませんでした。そういう人たちとお仕事をされている方ならではのお言葉ではないかと。リブログに引き続き触発されました。感謝申し上げます。
※タイトルにある「バラバラな世界をつないでるのは愛じゃない」というフレーズは、DEAD ENDの“CRASH 49”という曲の歌詞からの引用です。理想を見失い、それにともなって相互のつながりをなくしたこの世界について表現することを目的に引用しました。
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http://mainichi.jp/life/today/news/20120320ddm008020046000c.html
少し話しは異なりますが、就職もこんな感じとのことです。予知みたいにリンクしてて、面白かったです。
投稿情報: Account Deleted | 2012/03/21 00:19
ふむふむ。ミスマッチってことですね。就職活動ってぇやつは、ある意味すごいギャンブルなので、やっぱりみんな悩むのでしょうね。それはあたり前なことだと思いますけど。
完璧なマッチングなんてどこにもないと、今だから思いますけれどね。
投稿情報: 鍛冶 哲也 | 2012/03/22 01:13