CNET読者ブログの閉鎖について、他の方の書かれた記事も読ませていただいて、更にブログについて考えることがありましてそれについて書きます。個人的意見です。そして長文です。この読者ブログは残る人と消える人とに分けられるそうなので、消える側の人間が何を言っても負け犬の遠吠えのようでカッコ悪いですが、書きます。できれば多少なりとも普遍的な内容が書けたらいいと願いつつ。
テーマは2つ。ひとつはブログにおいて過去の記事はやっぱり大事だと思うってこと。もうひとつはビジネスとしてみた時にブログのサービスは儲かるのか。
さて、私は読者ブログの廃止自体は利用者としては受け入れるしかないと思っています。
儲からないビジネスからは撤退するのは商売としては普通のことだから。売れない商品はつくるのやめるの当たり前だから。ファミレスのメニューだって頻繁に入れ替わるし。それに永遠に続くサービスなんてのもありえないので。どんなサービスであれいつかは終わるものでしょう。
ただ、終わりにするにしてもその段取りってものがあるはず。
いきなり終了では、これまで利用してきた側は驚きます。廃業して夜逃げするならともかく、サイトそのものは継続するのなら、それなりに説明はするべきだと考えますが。送られてきたメールでは説明としてはあまりに不十分です。というか説明になってませんよね。あれは一方的な通告だと思います。結局は、儲からないからやめますということなんでしょうから、そう説明すればいいと思います。
あ、一部の書き手は継続するとのことですが、仮にこれまでのブロガーの半分以上を切るのであれば、そして残る人を決めるのが運営側の決定であるならば、それは継続というより廃止と新サービス開始という感じ。切られる側からいうと、廃止じゃん。もう使えなくなるんだから。
残る人にとってもその方がすっきりするのではないでしょうか。これまでのサービスは終わります。新たにコラムを始めます。執筆者は運営側が選んで執筆をお願いします。その方の過去の記事は引き継ぎます。それでいいじゃないですか。それでいいです。はい。
で、過去の記事を引き継ぐ必要があるのかどうか、と。
引き継ぐでしょうね。これまで書いてきたものだし、それに価値が認められて残るんだから。過去の記事をゼロにはしないでしょう?するのかな?しつこいようだけど、ブログというものは書いたものが蓄積することに意味があるのだと思います。例えば、投稿した記事が1日で消えてしまうとしたら、それはブログと違うものでしょう?じゃあ、1週間で消えるとしたら?1ヶ月なら?
そこが情報としての価値がリアルタイムな伝達にあるテレビや新聞とブログとの違いでしょうか。過去の蓄積が消えちゃったら意味がない。
そうか、ブログとは全てが署名記事なんですね。全てが。実名であれ、ニックネームであれ。執筆者の単位でまとめられた記事の集合。だから時系列に蓄積していくものなんだ。その執筆者の個性が面白いんですよね。解釈を交えない、客観的な事実を述べるだけなら、ブログとしては面白くないのでは?署名記事の意味がないのではないでしょうか。その人なりのテーマ、文体、その人なりの知識と関心、業界の中からの発言。偏りや偏見も含めてその人なりの個性が面白いのではないでしょうか。その個性は一本の記事だけでは表現できるものではない。複数の記事の集合がその人となりを浮かび上がらせる。
ブログの意味は記事が蓄積されていくことにあると私が考えるのはこんな理由です。書きながら思いついたこと、整理した部分もありますが。それは単なる思い付きとか後付けという訳でもなくて、言葉にならない思いを、人に説明するために言葉にしていくということの結果です。私が過去の記事にこだわる理由です。
それだから、過去の記事を残したい。他のブログに移してでも。
私はプログラマでもなんでもないので、自分の過去の記事をまとめて抜き取るやり方を知りません。それを他のブログサービスに移すやり方も。ひとつひとつの記事をコピペすることならできますが。どこまでできるのかは運営側の都合もあるでしょうが、ブログの移行についての何らかのサポートをして欲しいと希望します。というかその前に廃止の理由と今後のブログの扱いについてちゃんと説明して欲しいと思います。
ところで話は突然変わりますが、この件をきっかけにビジネスとしてのブログサービスについて考えたことを書きます。サービスの提供事業者にとって、なぜブログは儲からないのか?或いはどうすれば儲かるのか?
例としてアメーバブログでいろいろ検索してみました。ある調査ではブログサービスとしてのシェアが1位とあったからです。
アメーバブログは、2009年9月にサービス開始から約5年で初めて四半期での黒字を達成したそうです。
サイバーエージェントのIR情報によると2009年(9月期決算)のアメーバ事業の売上げは34億円(P26)。そのうちユーザ課金を除く広告売上げは約30億円程度。その前年度の売上げは約19億円なので対前年50%の売上げ拡大によって四半期黒字を達成したことになる。ちょっと計算が大雑把だが。
サイバーエージェントの藤田社長によるとアメブロの損益分岐点は月4億円だそうだ。四半期つまり3ヶ月では12億円でトントンということ。先のIR情報では2009年7月から9月の第4四半期の売上げが約12億円とあるのでつじつまがあうね。
で、そのアメーバの会員数はというと、同じIR情報 P25より2010年4月に850万人。2009年9月時点で645万人です。(おいおい今の時代に半年で200万人も増えてるよ。)この数字はアメーバ会員数なので、ブロガーの数とイコールではないが、まあ大雑把に規模を捉える上でニアリーイコールと考えておく。アメーバピグのユーザ数は昨年10月で140万人というからまあ最大2割くらいの誤差を含むアバウトな推計だ。ざっくりと推計してる訳なので私は2割は誤差のうちとする。アメピグとアメブロのユーザはかなり重なると思うしね。
この9月時点の600万のユーザのうち、1〜2割が今日1日に1本投稿を書くとして60〜120万の記事が1日でアップされることになる。で、その記事が1本あたり1日100アクセスを稼ぐとして、6千万〜1億2千万アクセス。個人のブログで1日100アクセスはかなりハードル高いので平均するとその半分くらいかもしれないけど、まあ上限値ということで。しつこいけどアバウトな推計なので。そうすると月間では30倍で18億〜36億アクセス。で、アメブロの場合は有名人ブログがウリだし、実際アクセスもひとり当たり1日数万くらいは稼いでいると思われ、月単位では数十万アクセス。
そんな有名人ブログがいくつあるのか、数えるのも面倒なんで200から300くらいはあるでしょ、っていう(得意の)大雑把で掛け算すると月に数億のアクセスが上乗せされる。もっとあるかもしれない。有名人ブログの数は推計しにくいな。有名人のブログにはコメントが100も200もついていたりする。コメントする人がそのブログを見た人の1%とすると1万や2万は軽くあるはず。またブログではないが例えばミクシイでは土屋アンナさんのマイミクは37万人もいる。10分の1が日記を見るとすると4万人だ。
と、ざっくり計算したところで、さっきのIR情報に戻ると、2009年9月の月間PV数は約108億PVとある(P24)。こりゃまた大きくでたね。私の計算とあってないじゃないか。でもアメブロの統括責任者がインタビューでつっこまれているように、ブログのアクセス数にはクローラーやRSSのアクセスが含まれていて実効的に水増しされてるみたいな話もあるみたいで、まあ本物の人がアクセスしてる分は数十億とみるのが妥当かな、と。(切り込み隊長のブログもこんな感じだし。)
まあとにかくざっと公表値で月間数十億から百億PVくらいないと広告収入でペイしないということ。もちろん600万人のブロガーを抱える設備と他にもピグとかなうとかいろいろなサービスの設備コストも含めて、だけど。で、ブログでメイクマネーするのはユーザ課金がない場合にはひとえに広告収入で稼ぐしかない訳で、広告稼ぐにはPVが必要だ、と。
という訳でCNET読者ブログはなぜ儲からないか考えてみる。読者ブログはCNETの審査をパスしないとIDもらえなかった(過去形)ので、その数は多くても数千人レベルだと推測します。アクティブに書いてる人は100人から300人くらいじゃないかな、感覚的に。で、1日あたりの投稿数ってだいたい10本から20本くらいじゃない?投稿1本あたりのアクセス数が数千だとして1日あたりの読者ブログの総アクセス数は数万。月間では数十万。多めに見積もって数百万の前半かな。サイトとしてのPV稼ぎにはあまり貢献してないなってことになる。な。
大雑把な計算が大雑把に当たってるとしての話ですが。ブログの書き手の数が少なすぎる。アメブロの850万とは比較にならない。(書き手の立場からするとこの書き手の数が少ないゆえに自分の記事のアクセス数は増えることになるのでありがたい話なのですが。新着として露出してる期間も他のブログと比べると圧倒的に長いし。他のブログでは自分の投稿なんてあっという間に新着の山に埋もれる。)某クリス・アンダーソンが唱えるフリーで稼ぐためには圧倒的な規模が必要なんです。
さて、では読者ブログの経済的価値はそれだけか。波及効果というものを考えてみると、私の場合は自分で書いてもいるだけにCNETにはよくアクセスしています。ITProやKeyman's NetといったIT系ポータルはすっかり足が遠のきました。読者としての私はCNET常連さんです(ホントですよ。今更お世辞じゃありません)。で、サイトに来た私は他の方の読者ブログと一般記事とだいたい半々くらいの割合で読んでいます。ブログの方が多いかも。半々だとすると先程のアクセス数は一般記事の分も加えて倍になります。すると月間1千万には届く訳で。これならCNETというメディアの中のコンテンツの一部としてならなんとかなるんじゃないかという気がしないでもない。まあランニングコスト次第ってことにはなりますが。そこんとこはわかりません。
超大雑把な計算ですが、経済的にはまあよくってトントンってとこでしょうか。結局のところはよくわからない。規模からいってもアメブロと比較するのが適切かどうかもわからないし。設備の規模も人件費も違うだろうし。設備はきっとアメブロの方がかなり大きいだろうし、人件費はこういっちゃなんだけどベンチャーと大企業では相当開きがあるだろうと思うし。CNET自体はベンチャーのくくりにいれてもいいような気がするんだけど、これが朝日となると、並みの企業じゃ太刀打ちできない水準らしいので。ま、マスコミとしての新聞の話ですけど。マスコミの人のお給料は想像以上に高いらしいし。んで、大手マスコミに買収されたネットベンチャーの給与水準なんてさすがの大法螺吹きの私にも高いのか安いのか想像すらできません。システム借用料と人件費を含めたランニングコストが月に100万きってればなんとかなる。なるんじゃないかな。なるかもしれない(将来的に)。なるといいな。そんな感じでしょうか。真相は藪の中。私の大雑把推測のあてずっぽうもここまで。(ここまで忍耐強く読んでいただいた方には最後に肩すかしのようで申し訳ございません。)
さて、読者ブログの閉鎖が経済的理由ではなくって、親会社のサイト運営ポリシーによるものだとしたら。
この視点は他の方のブログでその可能性が示唆されていました。私には思いつかない理由(の可能性)でした。ポリシーだとしたらもうお手上げですね。「ああそうですか」というしかない。そして酸っぱいブドウのきつねのようにそっと負け惜しみをつぶやくのです。「ケッ、あいつらネットってもんをなんにもわかってねぇなっ」と。
こんな長文にお付き合いくださいまして誠にまことにありがとうございました。自分としては間接的なデータから求める解の規模感を割り出す地頭トレーニングのつもりでざっくりとした計算に挑みました。3割、4割ぶれてて当たり前、くらいな精度だろうと自分でも思います。桁が、はずれていなければいいのですがね。これを読んだら大笑いする人がいるかもしれません。とんだ見当違いだと。まあ笑ってください。それくらいの覚悟はできております。ブログを公開するにあたってはいつでも
実際、これまでにも「広瀬香美のせいでツイッター落ちた!」とかバカなこと書いたこともありますので。その時は「この人、大丈夫か」と、コメントを戴いて、ちと凹みました。ま、それもバーチャルな世界における現実ということで。自分なりにはいろいろ勉強させていただいております。
これまでおかしなブログを読んでくださった皆様には心からの感謝を申し上げます。心から。ほんとうに。
そしてまた、これまでここでブログを書かせていただいて、感謝しております。ほかで書いてるブログよりも10倍くらいアクセス多かったし。それはCNETというメディアのパワーを実感として感じておりました。そのパワーをお借りして好き勝手を書かせていただいたことについては感謝しております。でも・・・・・・いや、もうやめときます。もう充分語りましたので
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