ドコモのケータイ端末の中で、らくらくホンというのが実はかなりな人気商品だと聞いたことがあります。多機能化、高機能化が進むケータイ端末の開発競争の中で、あえて逆をいくシンプルな機能に特化した端末。ケータイは電話とメールができればいいという割り切り。
ケータイに限らず、テレビやDVDレコーダーにしても電子レンジにしても時計にしても、高機能化が進んだ機械は操作がややこしくなる傾向があります。 はっきりいって、私は自分の腕時計ですら使いこなしてはいない。アラームだのストップウォッチだのといった機能を使うことはありません。ボタンが4つあって、組み合わせでいろいろな機能が使えるようなのですが、軽くマニュアルを見てみたけれど、時計として使えればそれでいいやと思いました。
テレビにしても、今時のテレビは入出力端子だけでも随分たくさんの口があります。昔ながらの赤白黄のRCAからデジタル信号用の端子からLANの口まで。デジタル信号も複数の口があって、HDMIとかD端子とか、i.LinkとかPC端子とか、正直、もうわからなくてもいいや、と思う。
パソコンは、そんな多機能端末の究極のような気がします。アプリケーション次第で、いろんな機能を果たす。Webを見たり、日記を書いたり、メール交換したり、チャットしたり、動画を見たり、音楽を聴いたり、ゲームしたり、お勉強したり、文書をつくったり、イラストを描いたり、CADで図面をひいたり、 作曲したり、動画を編集したり、CGつくったり、スケジュールや売り上げ管理など仕事で使ったり。
OSによって、基本的な操作には共通性がありますが、実際に使うにあたっては、それぞれのアプリケーションの使い方を覚える必要がある。パソコンに慣れた人は、マニュアルなんか見ないでまずは適当にいじってみてメニューを見ながら覚えていくのが普通でしょう。マニュアルをはじめから読んでいったりはしないのではないでしょうか。
でもパソコンに慣れていない人は、それがハードルになっている気がします。 操作方法を理解してからでないと、使えないと考えるのでは。
操作の複雑な多機能端末に対して、単機能の端末は操作がシンプルな分、わかりやすく、使いやすい。特定の機能に特化した専門端末の方が、とっつきやすいと思います。ユーザフレンドリーだということですね。
例えば、iPodなんかは最初は音楽再生に特化していました。キングジムの電子メモ帳ポメラも、文字入力に特化した単機能の専用端末といえるでしょう。もっとも、これらの機器は操作性を追究したと言うより小型化、軽量化、低価格化を目指したものといえるかもしれませんが。単機能化の目的もひとつではないということです。
はじめは音楽再生に特化していたiPodも、いまやiPhoneや、iPod touchという製品の登場ですっかり多機能化しています。写真でも動画でもスケジュール管理でもアプリ次第でなんでもござれ状態です。そして来月にはその延長としてのiPadが発売になります。いや、iPadをiPodの延長線上のものとして位置づけるのは正しくないような気がします。iPadはエンタメ要素の強い、家庭用のネット端末という新しいカテゴリーを創り出す端末だと見るのが正解だと思っています。しかし、機能面で言うとそれはiPodの延長線上にある。
マルチタスクで高機能なパソコンと、単機能な専用端末の中間に位置するような製品だと考えています。中間はマーケティング的な意味では、一般的には難しいポジションですが、Webブラウズや電子ブック或いは動画を楽しむものとしての操作性の卓越性を武器に新しいカテゴリーを本当に創り出せるのか、興味深い製品ですね。どうやらネガティブな予想もあるようですが、iPhoneで実現したあの操作感の楽しさは、多少時間はかかったとしてもきっと市場に受け入れられるような気がしています。いや、受け入れられるでしょう。
実際、我々を取り囲む様々な商品の中で、その商品の機能が使いこなされているものなんてほとんどないと思うのですよ。多機能の中で、たまたま自分で見つけて気に入った機能を使うことで満足しているのが現状です。そんなに高機能が必要な訳ではないのだと思うのです。
そしてまた、多機能に対する単機能のメリットとは、小型軽量化、低価格化と操作性のよさにあるならば、iPadはこれらの要件を充分満たしているように思います。小型化については決して小さい端末ではありませんが、そもそも小型化を目指してはいないと思われるのであのスタイリッシュなデザインと薄さにおいて条件をクリアしていると考えます。多機能だけれど高機能ではない、という独自のポジションを開拓しようとするiPad。早く触ってみたいですね。
でもね。一番いいのはスイッチ入れたらすぐに使える、起動が速い点だと私は思うのですよ。(前にも書いたけどね)
関連記事
iPadのもしかしたら最大のメリット
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。