「ウェブ進化論」のヒットで一躍有名になった梅田望夫とNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組で司会を務める脳科学者の茂木健一郎の対談集、「フューチャリスト宣言」という本を読んだ。
ネットがこれからの個人と社会の在り方を大きく変えていくだろう。ネットに積極的にかかわっていくことによって、個人がこれまでの社会の仕組みでは得られなかったようなパワーを得ることが可能になっていくだろう。(それだけの時間投資をした人は)。という内容で面白かった。
そして茂木健一郎という人が、今、さまざまな出会いを求めて激しく、アグレッシブにそして戦略的にマスメディアでの露出を高めているのだと知った。何かを求めて動いている時に、その目的とは違う別の価値あるものとの出会いを果たすことをセレンディプティという。ネットではよく経験することだ。本屋の中を彷徨っている時にも。
脳の中で、意識というものがどのように生まれているのか、それを説明する理論の手掛かりを求めて茂木さんは大量のブログを書き、人と会い、活動をしているのだという。今、本屋さんに行くと茂木さんの書いた本がたくさん並んでいる。新書が多いけど。4、5冊は並んでんじゃないかな。わざとやってんだ。なにもかも。
そんで、梅田望夫の「ウェブ時代をゆく」という本も読んだ。ウェブをいかに活用するか。オープンソースのようなコラボレーションのスタイルがこれからは拡大し、仕事のスタイルが変わっていくのではないか。個人の可能性が開かれていく時代。変革期。ブログが名刺代わりに、個人のクオリティの証明書に、信頼できる履歴書になる。
そして今、茂木健一郎の「欲望する脳」という本を読んでいる。まだ途中だけど、思いついたことをメモしておこうと思って。脳は、人間は、知性というものはダイナミックな開放系である。というつかみ方。閉じてはいけない。開いていくことで次の展開につながる。
人間の意識についての考察では、言語学者のソシュールへの言及もある。意識の志向性についての説明の中で。意識とシニフィエ(記号内容)との類似性が語られる。意識の志向性なんて言い出すと、言語学だけでなく現象学とか哲学につながってきちゃうな。
さらに夢とは昼間の経験を整理し、その意味を過去の経験と関連付けて長期記憶に格納する作業なのだそうだ。 夢についての説明の際には河合隼雄の話も出てくる。なんかいろいろつながってくるんだね。私の関心と。養老孟司の名前もちらっと出てきた気がする。養老さんもジャンルの違う人たちとたくさん対談してたねそういえば。
私の関心につなげていくと、あとはここに精神分析学の岸田秀と小此木啓吾と現象学の竹田青嗣とソシュール研究の丸山圭三郎を足してミックスすると私の興味関心が開けそうな感じだな。
そして茂木さんに戻ると、ネットの可能性の向く先として、株式取引のようなデジタル資本主義は、誰かが損して誰かが得するゼロサムゲームにすぎない、として批判する。もっと創造的なポテンシャルをイメージしているのだと思う。ネットの経済性という記事で私が言いたかったこととつながってくる。
そういえば、梅田さんの「ウェブ時代をゆく」には、最近の若者がお互いにネットやメールで疑問や質問や相談のやり取りを頻繁していて、その有様を「つながった脳」という言い方をしていたのだが、これこそまさに!このブログで私が考えを深めたかった個人とネットの関係が個人と社会の両方の言語体系(ラングとパロール)を変えていくというテーマを指すまさしく具体例なのだ!と感じて「アハ」となったのでした。
知はつながる。開放系こそが知の本質である。それは過去にも未来にも開かれてある。
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