初音ミク、大ブームというのともちょっと違うけど、いろいろメジャーになってきている。と思う。何を持ってメジャーというのかはあれだけど。
NHKの「週刊ニュース深読み」という番組で取り上げられ、またエンディングテーマ曲に使われたり、GoogleのテレビCMに使われたり、ファミリーマートが都内4店舗限定で3月3日から10日にかけて、店内を初音ミクでラッピングするという、プロモーションに使われたりとか。
初音ミクがファミマをジャック 都内4店舗で実施 ORICON STYLE
まあ、いってみればメジャーな媒体でニュースのネタとして取り上げられることと、広告プロモーションのキャラとして使われること。それを通じてお茶の間(これって死語か?)に広く知られるようになった。もしくはなりつつある。そういや札幌雪まつりでも話題になった。
初音ミク現象はおもしろい。音楽ファン的な表現を使うとアングラの女王がメジャーに進出しているっていう感じ。今風に言うならヲタクのアイドルがメジャー化といったところか。
ある限られた層での認知度はものすごいのだが、その外側ではほとんど知られていない存在であったと思う。チャネルはほとんどネット限定であったから。電波には乗らず、印刷にも載らず(多少はあったものの)、CDという媒体にもあるにはあったがプロモーションはなかったのでこちらも知る人ぞ知る状態。
その盛り上がりは同人誌でのキャラの二次使用、パロディによる盛り上がりに近いような気がするがその規模は大きく、絡む人の数も多い。そして同人誌の物語には、メインというか本家というか、オリジナルの作品が存在するものだが、初音ミクに関してはそんなものは存在しない。オリジナルの物語が存在しない、キャラだけの存在。中心不在の同心円。
それがこれだけ多くの人を巻き込んでいる。やはりソーシャルな存在というべきだろう。バーチャルというよりも。多くのコミットを集める虚構の存在。
背景に物語をもっているわけではなく、ビジュアルと音楽だけの存在。そう、かなりに音楽的な存在なのだ。
今年も3月8日と3月9日の二日間、「ミクの日大感謝祭」が行われる。
このキャラ、果たしてどこまでいくのだろう?
NHKクローズアップ現代でも、番組オリジナルの「初音ミク」が放送されました。その映像が制作後記に載っています。http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/200/111044.html
投稿情報: Account Deleted | 2012/03/06 12:09
コメントありがとうございます。リンクを見ましたが、そこにつけられたコメントの数々の方がむしろおもしろかった。NHKのサイトにコメントする人はやはりちょっとユーザ層が違うようにも感じた。
単なる印象ですが、若者は少なく中高年が多いような。「ボーカロイドはミクだけじゃない。もっと高性能なのもある。ミク以外のボーカロイドを無視するな」といったコメがいくつか散見されましたが、恐らくそれが「NHKでミク」に釣られたヲタ系の若者のものであろうかと。
中高年と思しきコメントには、やはり激しいジェネレーションギャップを感じます。その違いはきっとマスメディアを信じているかいないかの違いかもしれない。そのギャップは、すごくすごくものすごく大きな断絶ではないかと私は考えています。今の日本にはふたつの人種が共存している。あまり交わらずに。
ニュータイプとオールドタイプ。
投稿情報: 鍛冶 哲也 | 2012/03/10 11:07
そのNHKの番組のテキスト版をみつけました。
思いが伝わる声を作れ ~初音ミク 歌声の秘密~http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3166&html=2
プログラムに人間の歌声を真似させるための技術というのを読んで、人間が歌う時の技術というものに考えが及びました。
心を込めて歌うという言い方があります。言うのは簡単だけどやるのは難しい。
それを表現しようとすると、歌うということの技術を意識する必要がある。音程の取り方。音の上げ下げ。異なる音程の間をどんなタイミングでどうつなげるのか。どこにどんな風に強弱をつけるのか。どんな風に声にビブラートをかけるか。どれ位音を延ばすか。息継ぎをどこでどうやるか。
全部計算する訳ではないけれど、そういった技術的要素に意識を配ることで歌に変化をつけることができる。ま、うまい人は計算ではなく体感でそれをやるのだと思いますけれど。経験値によって。いわゆる体得というやつですか。
感情のこもった歌というものをコピー(再現)しようとする時にはそういう技術的な部分での再現が必要になる。要素還元。分析と模倣。
ある意味ではエモーションそのものも分析と要素還元可能なものなのかもしれません。人間という存在そのものがつぎはぎだらけのコピーなのではないかという私の人間観です。
投稿情報: 鍛冶 哲也 | 2012/03/10 11:42
プログラムは同じ歌を何度でも何度でも同じように再現することができる。
一方、人間はというと。
同じ歌を何度でも全く同じように歌えるということは、技術的な問題なんだと思う。普通はできない。
もちろん、「同じように歌う」ということをどの程度の精度で判定するかという問題はあるけど。評価のシビアさというか。表現の細部をどこまで読み取るかということだ。
大雑把に聴いてる人にとっては関係のない話し。どこまで気にするか、どこまでこだわるかの問題。一般には制作者の方がディテールにはこだわる。聴いてる人たちはあんまりそのディテールの違いがわからないことが多いと思う。
それは言語表現におけるディテールへのこだわりも同じだ。
精緻さにこだわるというのは美意識の問題なのだろうか。そういう意味での大雑把な人間にはなりたくないな私は。「違いの判る男」というコピーが昔あったが、そう考えると深いコトバだ。
指先の表現とか、ディテールをおろそかにしないということは様々なジャンルで重要なこと。
「神は細部に宿る」という言葉もあるが、いろいろな解釈ができる、含みのある言葉だな。
その一方で、細部は全部ばっさり切り捨てて、一気に本質に切り込むというやり方もある。
表現技術にこだわるか、コンテンツそのものの本質にどこまで迫れるかその掘り下げ方にこだわるかの違いかな。「生きるとは何か」という問いかけというか。
情緒的な言い方になるけど、「魂の叫び」みたいなものには技術は関係ない。
技術的な表現は繰り返し再生が可能だが、「魂の叫び」はそういうわけにはいかない。
投稿情報: 鍛冶 哲也 | 2012/03/10 12:16
VOCALOIDという音声合成ソフトのイメージキャラが、CGという視覚化をともなってリアルなコンサート会場(東京ドームシティホールというキャパ3,000人位のとこらしい)でリアルな観客を集めてライブを演る。そしてそれを有料でニコ動で生中継する。そんなミクの日大感謝祭というイベントについて書かれたブログを見つけました。長いけど。ミクという現象についての考察もあっておもしろい。ミクはわかる人にだけわかる「踏み絵」である。
【ミックミWeek】初音ミク現象で、ヤバイ「何か」が起こっている気がする考察。
http://pekokinta.blog.fc2.com/blog-entry-21.html
そしてその同じ人がミクの日大感謝祭を実体験したレポートがこちら。
【ミックミWeek】初音ミクと言う天使が舞い降りた・・・あり得ない現実が起こる奇跡のコンサート!(その2・コンサートの実際)
http://pekokinta.blog.fc2.com/blog-entry-23.html
投稿情報: 鍛冶 哲也 | 2012/03/18 06:46