去年の暮れにヒト型ロボットについていくつかブログを書きました。主に産業技術総合研究所が開発した美少女型ヒューマノイドHRP-4C未夢(ミーム)を中心とした話題について。
この記事で触れている産業技術総合研究所の開発者インタビューの中で、2002年、2003年にはバックホウ(ショベルカー?)を操縦して穴を掘るHRP-1Sのような屋外作業用二足歩行ロボットも既に開発されている。
産総研の女性型ロボ「HRP-4C」開発者座談会(その2)~目指すのは“人の役に立つ”ということ~
今回の福島の原発事故で、放射線がある現場でこのようなロボットが使えないのか、疑問に思っていた。まあ足場の悪い場所では二足歩行ロボットは現実的ではないかもしれないが。それでもショベルカーの操縦ができるなら使い道はあるのではないかと。
ところが、毎日新聞によると、「放射線はIC(集積回路)に使われるシリコンを劣化させるため、ICを鉛の板などで覆わなければ誤作動や故障を起こす恐れがある。遠隔操作に必須のカメラの受光装置も放射線の影響をうけやすく、『通常の災害用ロボットはあっても、原発災害用なんて国内には皆無』(政府関係者)という状況だ。」ということだ。
東日本大震災:福島第1原発事故 ロボットにも放射線の壁 無人重機IC誤作動の恐れ 毎日jp
過去、日本でも原発事故対応のためのロボット開発が、スリーマイル島事故後の1983年と1999年茨城県JCO事故後の2回、開発に着手されたが、いずれも「原子炉での事故はありえないから」という理由で中止しているという。
何故日本では原発用ロボットが作れなかったの? 答え「原発で事故は起きないから」 ヌレイヌ
アメリカからはロボット提供の申し出があったが、それに対する日本の対応は遅れている。
原発災害ロボ、使えぬ日本 欧米提供もノウハウなく 専門家「政策怠った」 産経ニュース
そして4月26日、アメリカのアイロボット社製の多目的作業ロボット「パックボット(Packbot)」が現場に投入された。建物内部の模様がこのロボットにより撮影された。アイロボット社のロボットはアフガニスタンやイラクで偵察や爆弾除去に使われているほか、メキシコ湾原油流出事故でも海中の原油の流れの調査等に利用されている。それ以外にもお掃除ロボットとして一般販売されている「ルンバ」もこの会社の製品だ。(余談だが、ここのCEOが日本のHRP-4Cに対して、「なぜロボットがヒト型である必要があるのか?」と発言して2チャンで論議を呼んだ)
「ロボット先進国」の自負は日本の幻想?福島原発事故に立ち向かう米国製ロボットの存在感 DIAMOND online
福島第1原発事故 東電、1号機の「水棺」作業のため無人ロボットで原子炉建屋の調査へ FNN
福島第1原発事故 ロボットによる1号機原子炉建屋内の調査で水漏れ確認されず FNN
そしてその後、更にロボットの活用について検討が進んでいる。千葉工業大が開発した国産ロボット「クインス」や、建物内部の詳細な放射線濃度マップ作成用にアメリカの別の会社の「タロン」の投入が計画されている。
作業の無人化進める=国産ロボットも導入へ-福島第1原発・東電 時事ドットコム
東日本大震災:国産ロボットのクインス 改造して福島第1原発事故現場に投入へ 毎日jp
【原発問題】「日本は実績がないから東電は外国製使いたがる」 「ロボット王国」の威信回復なるか 国産災害救助用ロボット投入へ★2 ヌレイヌ
福島第1原発事故 アメリカ製の無人ロボット「タロン」を5月上旬に導入へ FNN
ところが残念ながらこの国産ロボットは敷地内のがれきが多くて走行できず役には立たなかったのだそうだ。がれき等の悪条件での走破能力は世界一のはずなのだが残念だ。
ここで活躍してくれれば技術への評価は一気に高まるところだったのだが。
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